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外国人労働者問題の根源は・・? [格差社会]

 

ルポ 差別と貧困の外国人労働者 (光文社新書)

ルポ 差別と貧困の外国人労働者 (光文社新書)

  • 作者: 安田 浩一
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/06/17
  • メディア: 新書

「外国人研修制度」この実態は研修という名をかりた労働である。一部、研修生と円満な関係を築き双方の利益になっているところもあるらしいが、大部分は研修とは名ばかりの安価で過酷な単純労働に従事させられている。それはほとんど強制労働である。その中で圧倒的多数を占めているのが中国人である。

千葉県の農業協会の場合、月額報酬6万5千円、報酬は全額貯金、報酬とは別に食費5千円を支給、い習慣の労働時間は40時間、残業は時給450円、残業代は月額報酬とは別の口座に振り込む。休日は週1回、通帳と印鑑は経営者が預かり、必要に応じて現金を手渡す、パスポートも経営者保管、

パスポートと通帳・印鑑を経営者が預かるのは「逃亡防止」のためである。制度上は禁止されている。

ある岐阜県の縫製工場では、朝7時~夜10時までミシンを踏み続け、休日は月1日、基本給5万円、3万5千円は強制貯金、生活費として支給されるのは1万5千円、残業手当は実習生時代時給300円、研修生時代200円、隙間風が遠慮なく入り込む古い木造建て平屋の寮のなかでダウンジャケットを着込んで過ごす。

こういった研修生の日本の受け入れ側は、研修生受け入れ目的のためだけに設立された協同組合。その多くはビジネスとして研修事業を行っている。収入源は研修生を派遣した企業から徴収する管理費である。

毎月、研修生1人当たり3万円ほど徴収する組合が多い。100人~200人になれば相当な収入になる。派遣時に数10万円徴収する場合もある。事務職員1人か2人、非常勤の通訳、元手はかからない。唯一手間のかかることと言えば、現地の送り出し機関から研修生を引き連れてくること。しかし、その費用も傘下の企業に押し付けることもある。

協同組合が主催して中国へのツアーが組まれる。ツアーに参加した経営者は送り出し機関が用意した会場で大勢の候補者の中から指名する。通常は実技試験や面接で決めることになるが、女性の場合容姿で判断する経営者も珍しくない。この子は可愛いとか、スタイルがいいとか軽口をたたきながら研修生を選ぶ経営者も結構いる。まるで置屋のような雰囲気になる。さすがに送り出し機関の担当者が露骨にいやな顔を見せることもある。

協同組合主催のツアーは夕食の後「女を世話しろ」と言う。まるで売春ツアーである。そのような経営者が女性研修生を連れて帰るのだから、セクハラが絶えないのであろう。

しかし、前述したように全ての協同組合がこういったものではない。法令を順守したまともな協同組合も少数であるが存在する。

以下引用開始


 協同組合の代表者は、主にその業界出身者が多い。例えば縫製業界であれば、長きにわたって研修生を雇用してきた経営者が研修ビジネスのシステムを覚えていくなかで「自ら派遣する側」へと転身するケースだ。もちろん異業種から転進して協同組合の設立に関わるものも少なくない。外事関係の警察官、暴力団関係者といった経歴をもつ者もいる。

ただし、私が最も許せないと思うのは、劣悪な労働条件を強いている協同組合の代表者が、労働組合出身者であるというケースだ。

岐阜県のある大手の協同組合は、元社会党代議士で、一時期は地方労働組合の委員長も務めた人物が理事長に収まっている。この協同組合の傘下企業では、過去に何度も労働基準法違反の事例が明らかとなっている。しかし、労働組合出身の理事長は「企業が勝手にやったこと」だと自らの責任を棚上げし、しかも「協同組合は中小・零細企業を守るために存在するのだ」と研修生保護の姿勢を見せなかった。

 この理事長が、若いころの軍隊経験をもとに反戦活動となり、かつては未組織労働者のために奔走したこともあるという経歴に、私は敵意を抱いている。しかし、労働者を守るために反省を通夜した人間が、なぜに「時給300円の労働者」を放置してきたのか。現在の彼の“立ち位置”が私にはまったく理解できない。

 労働運動出身者といえば、日本有数の研修生受け入れ機関である日中技能者交流センターの元会長で、現在は顧問を務める槙枝元文をあげなくてはならない。”ミスター日教組”とも呼ばれ、80円台には総評議長をも経験したあの槙枝である。

 槙枝が創設し、現在も役員のほとんどが労組関係者で占められる同センターは、「団体監理型」の草分けともいえる存在で、これまで1万人近くもの研修生を中国から受け入れてきた。しかし、ご多分に漏れず、これまでにも最低賃金法違反、長時間労働、強制帰国など加盟企業で多くの問題が発生している。


協同組合の中には労働権の侵害どころか、ピンはね、中間搾取を行っているところもある。

 


「ピンハネした金を返せ」

元実習生の中国人男性が実習生受け入れ機関賃金の一部を着服されたとして、東京地裁に提訴したのは09年5月7日のことだ。訴えられたのは「日中経済産業協同組合」(東京都渋谷区)小渕成康代表理事。故小渕恵三元首相(元首相の兄の長男)である。

 


また、一方の研修生を送り出す側である中国の送り出し機関の周辺で、ヤクザと公安が甘い汁を吸っていると指摘する者も少なくない。

一体、これはどういうことなのか・・・

「国と国の隙間を縫った国家の裏事業」の様な気がしてならない。

 


 いわば、研修生という存在によって、縫製業者の多くはぎりぎりのところで「生かされている」のだ。大手婦人のアパレルから仕事を請け負う、別の縫製業者も言う。

「この20年で、工賃は半分にまで下がっています。たとえばデパートで定価7000円で売られている婦人物のブラウス、私の工場では750円の工賃で請け負っています。20年前の工賃は同じ低下のものであっても1500円でした。ちなみに1枚のブラウスの縫製に要する時間は1時間、つまり時間にして750円の売り上げにしかならないわけです。この中から人件費を含めた諸経費が出ていく。とてもじゃないが、日本人の従業員など雇うことはできません。だからこそ研修生を受け入れるしかないのですが、実はそのコストだって決して安いわけではない。たしかに給与は日本人よりは安価ですが、受け入れるにあたって協同組合(受け入れ機関)へ、一人につき10万円の諸経費と毎月3万円の管理費を納めなければならないのです。儲かっているのは受け入れ機関だけですよ」

過疎地の農場や元請けからの無茶な要求に泣かされる縫製工場の経営者が追い詰められたあげく、さらに弱い立場の者を下部に置くことで帳尻を合わせる。何と残酷なピラミッドなのか

真っ先に傷つくのは研修生であり、そして責任を取らされるのは受け入れ企業である。大手スーパーも、デパートも、メーカーも、アパレル会社も地場産業の衰退など知ったことではない。大企業から見れば、下請工場や農場など、研修生同様「使いまわしのきく労働力」に過ぎないのだ。

ミシンの軋む音は研修生の悲鳴であり、零細経営者の慟哭である。

「国内産」「Made in Japan」-食料品や洋服に貼られたラベルを見るたび、私は目に見えないもう一つのラベルを想像する・

Made by Chinese―

日本の地場産業を支える外国人の姿だ。


 

 そんなに器用でうまくはないが、夏物の洋服、こまごまとした手芸品、編み物、お菓子など手作りは結構好きである。材料を揃え、道具を用意し作ると廉価な物よりは必ず高くなる。しかし、素材もよく手間暇をかけて丁寧に作ってある商品はそれなりの値段がして、普段はおいそれと買うことができない。そういうものから見ると自分で作った方がはるかに安上がりである。

 小さな頃、特に東京ではない地方に住んでいた時の記憶は母の手作りの服を着ていた。今よりも家事全般に手間がかかる時代、母も大変だったろう。

 でも何で、こんなに服や物が必要なんだろう?お勤め、入学式、卒業式等をはじめとする行事、物を必要とする娯楽の数々・・・ここ北海道はあちらこちらにアイヌ民族の展示館等がある。物に溢れているわけではないが、手作りの服、生活用具は、独特な文様が施され、シンプルかつ美しい。歌やユカラ(伝承)も豊富である。

昔に帰ることはできないし、そうしたくもないが、この世の中は余計なモノ・事柄であふれている。でも一部の人を除いて自分で何かを創造する時間は極めて少ない。そして肝心なこと大事なことが見えなくなっている。

最近は、基礎化粧品などもほとんど買わない。ホホバオイルと質の良い石鹼で十分である。クリーム・リンス・歯磨き・マウスウオッシュ、うがい液等もミツロウ、ホホバオイルなどで作る。住居用洗剤は重層とクエン酸。子どもたちのヘアーカットもやる。髪のヘナ染めも全部自分で(自分のカットも可能な時は・・)

時間があれば何とか工夫する。自分でやってみる。結構面白い。子どもと何か一緒にやる時間も多くなって楽しい。

お金をたくさん持つ=豊か=幸福 これはもう根底から疑った方がいい。貧しいと苦しい、嫌だ、昔の日本人もそう思っただろうし、今の貧しい中国人も大部分そう思っているだろう。ストリートチルドレンも世界のあちこちのスラムにたくさんいる。

でもいつの世にも貧しくても飄々と颯爽と生きている人はいたのじゃなかろうか。

残酷なピラミッドに組み込まれるのはもうやめたい。

このピラミッドに入るのをやめる=既存の経済活動に積極的に参加しない

そういう人が増えれば、逆に世界は豊かになる と私は思うのである。

 

 


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