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貧困大国Ⅱ 刑務所ビジネス≒人間牧場出現・・?? [本]

 

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 新書

 

この本、今年1月出版されていたけれど、前作と同じ題名、装丁同じでⅡだけだったので、気がつかなかった。まあ、マヌケな自分であるが、もしかしたら他にもそういう人がいるかも・・・

 内容については書かれている方が他にもたくさんおられるので、はしょる。

いきなり自分の感想にいく。

この本の中で、自分が一番驚いたのは刑務所ビジネスである。

こちらのブログが詳しいので、引用させていただく。


志村健世のブログ

刑務所の民営化とはどういうことなのか、アメリカで導入されて成功しているという話を聞いてはいましたが、その実体は驚くべきもののようです。オバマ以後のアメリカの街頭では、ホームレスの姿は減ったように見えるそうですが、その人たちは塀の中に入ったのです。多くの自治体の条例で、ホームレス暮らし自体を違法とする傾向が強まり、教会など慈善団体による炊き出しにも規制が加えられるようになりました。
 

 住宅ローンの破綻などで自宅を追い出される困窮者は増えていますが、当然ながら生活の受け皿はありません。カードが使えず就職が困難であれば、一流企業で働いていた人でも簡単に貧困に陥ります。違法行為者として逮捕される人の中で、白人の比率が高まっているそうです。一度刑務所に入ると、刑期を終って出所してからの就職は絶望的になります。すぐに累犯者として刑務所に舞い戻るしかありません。

 それに対処して、「スリーストライク法」なる条例が多くの州で作られ、有罪判決が3回になると自動的に終身刑を課せられるようになりました。囚人という新しい奴隷身分の誕生です。刑務所での懲役では、通常の雇用のほぼ10分の1の安い賃金での労働が義務になります。ここに刑務所ビジネスがローリスクでハイリターンの成長産業になる理由があります。刑務所雇用で囚人にも使用者にも評判がよいのは、電話のコールセンターの仕事だということです。一流通信企業の「お客様ダイヤル」のオペレーターは、囚人なのです。

 
 警察は取り締まりの強化と逮捕率の向上で成績を上げ、自治体は安全になったとして市民から好評を受けます。ホームレスになれば逮捕されるという恐怖心は、貧困層をどんなに劣悪な条件でも喜んで働くように仕向ける何よりの圧力になります。自由競争、自己責任、格差拡大社会の完成形は、囚人という名の奴隷制度の復活でした

  オバマ大統領が唱えた「チェンジ」とは、もちろんこんな状態とは反対のことだったでしょう。しかし資本のメカニズムは、簡単には変えられないのです。かつてオバマに期待して投票した人たちは、「大統領を選ぶだけで一仕事終ったように思ったのは間違いだった。本当の仕事は、大統領になったオバマを私たちが望んだように動かすことだった。」と反省しているということです。政権交代に熱をあげた私たちにとっても、決して他人事ではありません。

  http://pub.ne.jp/shimura/?entry_id=2922888

*太字強調は当ブログ主による。


青字は「ルポ貧困大国Ⅱ」から。

 「刑務所が囚人たちの押し付ける負担範囲は拡大する一方です。囚人たちは用を足すときに使うトイレットペーパーた図書館の利用、部屋代や食費、最低レベルの医療サービス等本来無料であるべき部分まで請求されています。」

「刑務所内の労働は苛酷でした。手術直後や瀕死の重病でない限り、車いすの囚人でさえ、労働が科せられるです。時給は12セント。賃上げは一切ありません。ですが、生活に必要な健康や衛生関連の備品は自費で買わねばならず、負債はどんどん増加します。」

 

実際に犯罪率が上昇しているかというと、むしろ減少している。また、暴力犯罪も全体の14%以下で、傷害犯罪は3%以下であるという。カリフォルニア州で刑務所送りになった犯罪の罪状トップスリ―は、上位から薬物所持、薬物販売、窃盗、と凶悪犯罪ではない。むしろ、マスコミがテロや凶悪犯罪に対する恐怖を煽っている。結果、警備会社が儲かり、取り締まりを厳しくというムードをつくっている。

連邦刑務所の製品の全米市場におけるシェア

(Wall Streat Journal,July 22,1999)

 組立器具              98%

 防具                 46%

 組み立て家具           36%

 スピーカー、へッドフォン、マイク 30%

 電気製品              18%

 オフイス家具            17%  (同書より)

  

 1989年、オハイオ州の州刑務所が自動車関連会社のウ―スティック社と契約し、約60人の囚人が海外の大手自動車会社の車部品組み立て業務に使われていたことを知ったUAW(全米自動車労組)は、刑務所労働に対する組織的抗議行動を行った。時給30ドルの組合労働者が、州のコミッションを合わせても時給2ドルの囚人労働者に勝てるはずがない。

(中略) 

またノースカロライナ州では12の刑務所が約650人の囚人を「最安価労働力」として市町村にレンタルしている。

(中略)

「もし、勤務態度が悪いと言われてクビになったら最後、奴隷のような超低賃金の重労働に転落でしからね。そして自分の後釜を狙う囚人は山ほどいる。後略」

前作も衝撃的だったが、今回もさらに衝撃的だ。しかし、このような状況でも立ち上がろうとしている人たちもいる。ネットを駆使して繋がる若者たち、オバマにCHENGEしてもらうのでなく、オバマを動かそうMOVEしようとするピンクコードというピンク色を身に付けた女性たち。

「立ち上がれ日本」は立ち枯れとか言われているが、もはや政治家に頼るのではなく自分たちがたちあがなければと行動している人達がいる。

今の日本の状況では、現在のアメリカのようになるとは予想できない。(結構日本もひどい状況だけどね)しかし、対岸の火事の如く、知らん顔をしていたら、極めて短時間の間に同じようになっていたということになりかねないだろう。

ここにはあまり書かなかったが、学資ローンで破たんする若者が増えている。この学資ローン、高利のうえに消費者保護法がかからない。この学資ローンビジネスは中流層を最大のターゲットにしている。

 「初めから進学を視野に入れていない貧困層と違って、年間数千ドルの学費で公立大学を卒業した世代に育てられた中流層は、大学進学を当たり前のことだと思っている。その上、何度も改正されて非常に複雑になっているローンスステムを親子そろって理解していません。彼等は労働市場の急激な変化に頭がついていかず、自分はマクドナルドで働く高卒の人々とは違うという自尊心をもっている。

学位さえあれば社会に出てから望む仕事に就けるという幻想を今も抱いている人々は金融機関にとって最大のカモなのです。」

まったくもって、巧妙な商売を考え出すものである。

刑務所ビジネスについても刑務所REIT(不動産投資信託)というのがある。刑務所の建物と土地を所有してテナントに賃貸する。テナントは主に州の自治体、契約期間は十年、中途解約不能、管理費、修繕費テナント持、おいしい商売だそうである。

建設費用のスポンサーはウオール街の金融大手。民営刑務所の最大手のCCAはメリル・リンチ、アメリカン・エキスプレス、シェアソン・リーマンがバックアップ。中間業者もいて州、中間業者、CCA、投資家、全員が儲かる仕組みになっている。

まさに刑務所ビジネスは現代版奴隷制度である。

《 陰謀論者の一部(自分もそうか・・笑)が内戦とかがあって従わない人間は強制収容所に入れられるなんて言ってたけど、なんのことはない現在進行形であった・・・》

巧妙な手口を使うという点において、どうやら支配者階級の方が数段上である。

 

さて、どうしてくれようか・・

情報や知識をシャットダウンして安楽な自分の世界に閉じこもってこのままこの世界の流れに身を任せるも、できる限りの自分の思考力、想像力、創造力等を総動員してこの世の矛盾を打ち破ることに挑戦するも、それぞれの自由である。

 

(追記) 

最後に。

11月中旬に新しい戦争税導入案の詳細が発表された。

これによって、年間1000億ドル(十兆円)の軍事費と1600億ドル(16兆円)の民間請負会社への発注費用、計2600億ドル(26兆円)という莫大な戦争費用が税金で賄えることになる。

オハイオ州選出のデニス・クシニッち民主党下院議員は、この案について「すでに国民がいさめた税金の大半は、国民生活のためではなく戦争に使われている」と批判した。

「国内には4200万人の飢餓人口と4700万人の無保険者がいる。1500万人が職にあぶれ、1000万人が家を差し押さえられそうになっている。財界へ流れた分と戦争予算のしわ寄せを受けて拡大する国内と貧困と失業者こそが、大量破壊兵器ではないか」

住宅ローンや教育ローンで破たんした人が傭兵会社に雇われて派遣社員として戦争に行く、帰ってきてホームレスになり、街角から追い立てられて刑務所に入る。持家や将来に夢を託した人がさ神徒を転げ落ちていく・・・

でもこんな世を創ったのは、一流大学での超エリートたちではないのかね?


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