大変わかりやすい税の本「悪税が日本を滅ぼす」 [好きな本、おすすめの本]
こういう本に出会えるからやっぱり読書は止められない。
悪税が日本を滅ぼす―元国税調査官が暴露する不公平税のからくり (新潮文庫)
- 作者: 大村 大次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 文庫
税金、政治、経済、あと数字が苦手な人でもこの本ならわかりやすいのではないだろうか?
それにこの本、400円なのです。お財布にやさしい。
著者は元国税調査官、このような本が書きたくてライターになったとあとがきにある。
「格差社会は税金が作った」 の中から一部引用する。
昔から、たくさん稼ぐ人はいたのである。若くして成功する人も多かった。しかし、昔の成功者は、ヒルズ族の様な桁外れの富を手にすることはなかった。なぜかというと、昔は金持ちからそれなりに税金を取っていたから。1980年代までは、高額所得者はその収入の8割が税金として取られていたから。だから、成功しても莫大なお金を残すことはなかったのだ。
しかし、現在の高額所得者は、最大でも50%しか税金を取られない。しかも、株の売買益で儲けた収入は、どれほど多くても20%しか税金は課せられない。だから、彼等は稼げば稼ぐだけ、自分の懐に入れられるのだ。
収入の8割が税で取られた、というと可哀そうな気がしないでもない。でもそれは何の苦も稼いでいる人に対してである。8割を税金に取られても、まだ何千万、何億の収入があるのだ。普通の人よりもはるかに裕福なわけだ。
また金持ちがそれだけ税金を払っていたということは、昔の金持ちはそれだけ度量が広かったともいえる。
そして、金持ちにこれだけの税を課していたからこそ、日本の社会は格差がなくやっていけたのだ。
ヒルズ族は時代の寵児などではない。昔からいた金儲けのうまい連中に過ぎない。そして今、彼らが手にしている莫大な富は以前は国民のものだった。
とまあ、こんな感じで非常にわかりやすい。税金を集金するほうにいる側だったから見える部分も大きいのだろう。
親なのでどうしても教育のことには敏感に反応するのだが、給食費、一食当たり900円かかっているというのには驚いた。
保護者が払う給食費は月額3900円。一食当たり230円。これは食材のみのお金であり、調理費や光熱費などの経費は税金で賄われていて650円、合計880円という高額になっているらしい。
しかし、栄養士が計算したりして手間がかかっているというもの、給食を作る施設には税金がかからない、一つのメニューを大量に作るからコストは削減できる、一定の「客」がいるから在庫コストはいらない。もしこの条件で民間のレストラン、食堂が900円の食事を提供するなら相当に豪華になるはずだと言う。
しかもこの高額給食費は全国の小中学校の平均、何故、こんなに多額の税金が使われているかというと給食関連費が地域の利権になっている。教育関係者などが自分の利権としてこの支出を牛耳っている。
市町村によっては、安くなるから外注しようとしたところ、教育委員会事務局からクレームがでて、できなかったという。
自分はほかにも教科書(ワークブック)制服(ジャージ、上履き)に細部に至るまで利権があると推測している。制服など、生地はさすがに良いものを使っているかもしれないが、どうしても値段とはみあわない。しかし、高いからと言って買わないわけにはいかない。
給食の話に戻るが、本屋でこんな本も見つけた。
衝撃!爆笑!鳥肌もの!これがいまどきの学校給食だ!雑煮と食パン?黒糖パンに味噌汁?子どたちは大丈夫か?超ミスマッチ・油と砂糖責め・貧乏給食・お菓子給食・居酒屋給食。総勢73点、全国の変な給食を写真で紹介。
非常に恐ろしいことなのだが、もしかすると食材費まで手をつけて中抜きしているのかもしれない。きっとこんなことを言うと給食費を払わない親がいるから、費用が足りないのだという反論がきそうだが、以前も書いたが給食費を何で払えないのか、正確に調査したらいいと思う。私は払わないではなく、本当に払えない人の方がかなり多いのではないかと思う。
そのような親たちも毎日生活するのに消費税を払っているのだから、何らかの救済方法をとるべきであろう。ちなみに消費税は貧乏人ほど高い税率になる。いわば逆累進課税である。
ということで、話はあちこちにいってしまった。
「悪税が日本を滅ぼす」 この本の中にはこれはそう思えないな~という部分もあるにはあったが、一読することお勧め。自分は物事を難しくわかりににくくしてしまう人よりも、なるべくいろんな人にわかりやすく説明してくれる人の方が好きである。(短絡的なのは困るが)逆に物事を難解にしているのは、隠したいこととか、嘘が嘘であるのを見抜けないようにしているのかな~と感じてしまう。